「マジックみたいだね」
書き出し.meでネタの出ない日を繋ぐ。
「マジックみたいだね」
「マジックみたいだね」
たきびに火をつけていた猫の魔法使いに、穴からその様子を見ていた子ネズミが思わずいった。
「あったまるか?」猫の魔法使いは少しに横にずれた。
「うん!」
子ネズミは猫の魔法使いの横に駆け寄った。
火は小さく燃えている。よく見ると、踊っているようだった。
「これ、踊ってるみたいだね」子ネズミはキラキラとした目でいった。
「踊らせてみるか?」
猫の魔法使いは得意げに爪をこすり合わせてみると、火が二つ、四つ、八つに分かれて、円を作った。そして、火はくるくると観覧車のように周りだした。
「すごーい!」子ネズミは自分の身長くらい飛んで喜びをあらわにする。
「フフ」猫の魔法使いはにやりと笑う。ヒゲが細かく上下した。
「ねぇ!」子ネズミは振り向いて、「僕にも教えておくれ!」
猫の魔法使いは、きょとんとした目で子ネズミを見た。子ネズミの目はとても澄んでいた。
「おまえはマジックで何がしたいんだい?」
「僕? うーんとね」子ネズミはワクワクした調子で「お母さんを探すの!」
「お母さん?」
「そう! お母さん! 僕が寝ている間にどっかっていっちゃって、いろんなところ探しても見つからなくて」子ネズミは目を伏せたかと思うと、もう一度猫の魔法使いにまっすぐな目を向けた。「どうしたらいいかなって思ってたところなんだ!」
猫の魔法使いは、丸めた手を顎に当てて思案する。
長くはない時間が過ぎて、一言。
「よし、わかった。君にマジックを教えよう」
「ほんと! わーい!」子ネズミは飛び跳ねて、猫の魔法使いの頭に飛び乗った。
ゴロゴロと猫は鳴きながら、爪をこすり合わせた。
そうすると、空から鍋と調味料が降ってきた。
「とりあえず、飯にしようか」
「うん!」
子ネズミは楽しそうだ。