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むじゃき

なんでもかんでもアウトプット 一日一新 抽象化する思考

突発SS:「愛しています。だから、さよなら」

カテゴリ―フリー-ショートショート カテゴリ―フリー

気分が落ちすぎているとき、
ダークなアウトプットをするくらいなら、
何か他のアウトプット方法がないか考えてみた。

そして、出た結論がなんてことはない。
ショートショート」である。

さて、試しに書いてみる。
書き出し.meより

「愛しています。だから、さよなら」

「愛しています。だから、さよなら」
そういう彼を最後に見たのは、まだ夕暮れ時の梅雨の日だった。
どうして彼がそういったのか。
私には見当もつかない。
だって、明日はいつだってやってくるし、その明日だって普通にやってくる。
いつもと変わらない毎日が私の足元にある。
彼の足元にだっていつもと変わらない毎日が、私の毎日と平行にあるはず、なのに。
どうしてだろう。
言葉を紡ぐ彼の口は小さく震え、まるで音叉のよう。
それが季節外れの寒さからくるものなのか。それともまた別の何かなのか。
もしかしたら、彼が泣いていたのかさえ、俯いた彼からはもうわからない。
だって、この雨の中、彼は傘をさしていなかったし、私は傘をさしていた。
そう、私は傘をさしていたのだ。
だけど、なぜか頬は濡れていて、時折撫でる風が冷たい。
彼は目を合わせないように私に背を向けた。
私の体はまるで石像にでもなってしまったかのように動かない。
彼が歩き出した。
水の跳ねる音がする。
どんどん彼が小さくなって私の視界から消えていく。
私はそれを黙って見ていることしかできなかった。

「今日で何日目?」
「25日と半分」
「半分?」
「今日はちょっとやりきれなくなった」
「そう」 「今日の彼女はたぶん僕に会う前の彼女だ、あれは変質者を見る目だったよ」
「明日の彼女はあなたに会った後の彼女だといいわね」
「そうであることを祈るよ」
「でも、彼女になる前の彼女かもしれないわ」
「それはとてもやっかいだ」
僕は梅雨空を仰いだ。
僕の彼女は一日しか記憶が持たない、というわけではない。
わかっているのはひとつだけ。
彼女の明日は、僕らにとって昨日かも入れないし、来月かもしれないということ。
だから、僕は毎朝挨拶代わりに告白をする。
その反応で、彼女がいつの彼女なのかを判断するのだ。
そのあどけなさの残る彼女の笑顔に期待して。

ブログ後記

気分が落ち込んだときほど、創作意欲?があるようだ。 ショートショートを書いた時は落ち込んでいるということで。

以上、たろいもでした。