ゲーミフィケーション事例:沼田晶弘先生
見る人が見たら、ゲーミフィケーション事例ではないかもしれない。
しかし、直感に従ってゲーミフィケーションの枠で捉えてみたら、
意外と類似点が見つかったのでそれをアウトプットする。
今回のゲーミフィケーションは、「フィードバック」に関することだ。
記事紹介
この小学校先生がすごい! 子どもたちのやる気を引き出す数々の仕掛けとは
Facebook上で話題の記事から。
この小学校の先生が取る方法には、ゲーミフィケーション的な要素があるように感じた。
以下、見出しごとに感じたことを書き、最後にまとめを書く。
「先生の授業はお笑い芸人みたいだね」
ツッコミは、かしこまった言葉で表現するなら、フィードバックである。
誰か、何かから即座にフィードバックをもらえることはゲーミフィケーションを考える上で重要なポイントのひとつ。
ゲームの表現を借りれば、「ステータス画面」。
自分の行動に評価をもらうことが早ければ早いほど自分の現状を把握でき、
目標に向かって進むことができる。
次のレベルまでどれくらいなのか。
この記事での「ツッコミ」は質問の意味が強いように感じる。
なぜ君がそう思ったのか。
それを考えてもらうために、ツッコミを入れ、自分の思考の現状を一度確かめる。
それはまるで鉄を打つように考える力が付いてくるはず。
「称号」にこだわると、九九も自発的に覚える
他の言葉で言い換えるのであれば、バッチ・メダルである。
わかりやすい目標があり、その目標の先にはわかりやすい達成感がある。
2分という数値化された自分にわかりやすい目標。
小学生にはあこがれのあるアルファベットを用いたU2(Under 2minutes)という他人にわかりやすい達成感。
クラスというソーシャルの中で競争をするきっかけにもなる。
「やべぇ、あいつ2組のU2だぜ」
「こっちには、8段までのU2がいるんだぞ」
あ、ちょっと楽しそう。
かしこまった言葉で言えば、達成感の可視化がされている。
「地域について調べなさい」ではなく、「今から観光大使ね」
一言でいえば、ロールプレイ。
ディズニーがアルバイトといわず、キャストと呼ぶことに類似性を感じる。
明確な役割をもらうことで、自分の現状が書き換えられ、当事者意識が生まれる。
今から勉強でなく、大使として調べるのだと。
さらに、漠然とした「調べなさい」から「観光」というテーマが示されることによって取っ掛かりやすく、テーマが限定されることによってそれぞれの考えがよく見れる。
もっとも凄いことはこのあとの先生の行動。
もうその県についてすごく詳しくなって、最後に一人ひとりが観光大使としてプレゼンしたんですけど、やっぱり最後にまとめとしてノートにしないと書く力がつかない。そこで考えついたのが、「よしこれ、知事に送るぞ」と。それで本当に送ったんですよ、全知事に。
子どもは「またこの人変なこと言ってるな」みたいな感じでしたけど。でもノートにまとめて送ったら、知事からお手紙が来たり、お礼にクリアファイルとかを送ってもらったり、兵庫県からは「勝手になんて言わずに正式に特別観光大使に任命します」みたいな通知が来たり、島根県からは学校にゆるキャラ「しまねっこ」が来ましたね。
確かに変なこと言っていると感じる、直感では。
自分の所属するソーシャルとそれよりも大きいソーシャルには差がある。
しかし、先生の働きかけと知事からフィードバックによって、その2つのソーシャルには、はっきりとした繋がりがあると確認できる。
子供にとっては世界を動かした瞬間に感じるかもしれない。
自分が学校で島根の観光大使をして、結果、「しまねっこ」が来たら、どれだけ感動するだろうか。
予想外のフィードバックである。
日直は「キャプテン」、班は「チーム」に
これもまたロールプレイ。
腕に巻く「キャプテンマーク」を付けることで、他人に対してアピールされる役割。
その日だけは自分を中心に構築される世界観。
責任感がやる気に繋がる。
クラスの目標は賞金を稼いで、ホテルでご飯。
目標の内容については、いいなーという感情だけ持とう。
目標設定をすることもゲーミフィケーションの重要なポイントのひとつ。
ただ目標設定をすることがいいわけではない。
目標を達成することでどんなことが待っているかがわかりやすい方が良いだろうと考えている。
また今回の目標のように少し夢物語的である方が想像が膨らみ、「達成したい!」と強く思う。
大人も子どもも、みんな「認めてほしい」
大人も子供も変わらない、フィードバックの大切さ。
例えば最初の頃はただ「いいね」とか言うけど、最後に段々レベルが上がっていったらより具体的に褒める。
料理だったら、最初は「美味しい」って言って。次は「今日の焼き方いいよね」みたいな。
3つ目になると「このソースと焼き方のバランスが絶妙」みたいに、段々詳しくしていって。
フィードバックにもレベルという概念が適用できるのかしら。
レベルごとにフィードバックが異なるということ?
フィードバックの方法もまだまだ掘り下げる必要がありそうだ。
要するに?
子供にやる気を持ってもらうには、的確で早いフィードバックと、想像力をかきたてるロールプレイ。
クラスというソーシャルの中で、どう子供たちを位置づけるのか。
ソーシャルの中での相対なのか、それとも他のソーシャルに対する相対なのか。
なるほど、昔の通信簿に通じるものがある気がする。
ブログ後記
ゲーム業界からゲーミフィケーションがあったように、子供がはまるおもちゃ業界からゲーミフィケーションのように同じ考え方を持ってきてもいいのかもしれない。
称号やキャプテンなどはそういう発想かもしれない。
もう少し考え方を拡大すると、その年代によってハマる何かの方法論は、その年代が良く利用するサービスに転用できるかもしれない。
そう考えると、娯楽から楽しさの原典のようなものがわかるかもしれない。
以上、たろいもでした。