むじゃき

なんでもかんでもアウトプット 一日一新 抽象化する思考

書き出し.me:「さぁ、お前の罪を数えろ!」

「さぁ、お前の罪を数えろ!」
「いーち、にーい、さーん・・・」
「ちょっと、お父さん、何してんの!」
夕食を作っていた私は、勢い良く風呂場の扉を開けた。
白髪まじりの私の父と3歳になる私の娘が仲良く湯船に浸かっていた。
「・・・ろーく、なーな・・・」
扉の音に動じることなく、肩まで湯に浸かる娘は一生懸命に数字を数え続けている。
「なーな、なーな・・・あれ?ななのつぎって?」
両手を取り出し、小さな指を一本一本折りながら、改めて数字を数え始めた。
「なんじゃ、覗きか?」とぼけるように父。
「・・・さっきのなんなのよ」呆れたように私。
「さっきとは?」
「お前の罪をどうとかっていう」私はお玉を持ったままであることに気付きながら「変なこと教えないでよね」
「変ではない、これも立派な小悪魔教育じゃ」
そういうと、父は片方の口角だけを上げ、威張るように微笑んだ。俗に言うドヤ顔である。私から見れば、ドヤ顔というよりかはアホ面ではあるが。